冬の夜

昨夜は、雪に変わることもなく 夜9時に会社を出るときには雨もあがっていました。

今日は 青空が広がる快晴。ただ、夜明け前に気温がぐっと下がったために朝の通勤時には濡れた路面が凍結していました。

日中には 日差しがしっかり届いて 風も無い過ごしやすい一日です。

一昨日、珍しく早く家に帰り着きました。夕食の支度をして家事を済ませてもまだ夜の9時。いつもなら家でやっている方の仕事があるので奥の事務所で一仕事するのですが それも30分ほどで簡単に完了しました。

となると、久しぶりにゆっくりと好きな本のページをめくりたくなります。冬の夜に部屋着の上にもこもこのフリースパーカーを着てリビングの定位置の椅子で読書をしました。傍らには勿論 ねこ。

最初のうちは 私がたぐるページが気になって落ち着きなくきょろきょろとしていましたが、10分もすると諦めて私の隣でウトウトと微睡みはじめました。

手に取ったのは 漱石書簡集。大好きで何度も何度も読んでいる本です。

漱石は筆まめで、2500余りの書簡が残されています。中でも私は 漱石が大正15年8月24日付で芥川龍之介と久米正雄宛てに送った手紙が好きです。漱石の手紙は、漱石文学同様に・・・ユーモアにあふれ、人生をいかに生きるか、いかに楽しむかということを温もりある文章で綴っています。とくに、8月24日の手紙では、当時飛ぶ鳥を落とす勢いの芥川龍之介と久米正雄に警鐘を鳴らしているように思います。このとき漱石は49歳。彼らは20代半ば。そして漱石は、その年の暮れ(12月9日)に亡くなっています。

その中で、(抜粋)

 牛になる事はどうしても必要です。われわれはとかく馬になりたがるが、牛にはなかなかなりきれないです。僕のような老獪なものでも、ただいま牛と馬とつがって孕める事のある相の子位な程度のものです。
 あせっては不可(いけ)ません。頭を悪くしては不可(いけ)ません。根気ずくでお出なさい。世の中は根気の前に頭を下げることを知っていますが、火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれません。うんうん死ぬまで押すのです。それだけです。決して相手を拵(こしら)えてそれを押しちゃ不可(いけ)ません。相手はいくらでも後から後から出てきます。そうしてわれわれを悩ませます。牛は超然として押して行くのです。何を押すかと聞くなら申します。人間を押すのです。文士を押すのではありません。
 これから湯に入ります。
 八月二十四日                  夏目 金之助

 私流の解釈ですが・・・・

 牛のように根気強く、地に足を付けて 世間の細かなことに煩わされず 、世間の風評を気にせず 揺らぐことなく思い定めた道を進みなさい。世の中というのは、根気のある仕事は評価してくれるがパッと散る火花のように華やかではあるが短命な仕事というのは すぐに記憶から無くなってしまうものだ。文士であるまえに人間であれ。肩書きで仕事をせず、一人の人間としての自分を押してゆきなさい。自分を見失うことなく、黙々と一個の人間としての自分を押し続けなさい。死ぬまでうんうんと唸りながら人間とはなにかを押し続けながら人間の重さ、力強さ、弱さ、人間本質を自分で感じながら仕事をしなさい。

・・・・と若き門下生 芥川龍之介と久米正雄に伝えたかったのかな・・・と。

この本に、解釈は無く ただ書簡が時系列に編集されているだけです。手紙の文面から 当時 漱石が執筆していた小説を思い浮かべながら読むととても楽しく読めますし、漱石の人生に対する洞察力に驚きます。
そして、その漱石の洞察力は 100年後の今の私が読んでも 決して色あせず 光を放つ 警鐘のように感じる本です。

 冬の夜、猫をそっと撫でながら 好きな本を片手に ほうじ茶をすする。こんな時間があるからこそ、また明日も頑張って働こう。って思えます。

 今日の通勤は

 スカート  :ウールプリーツスカート(マーガレットハウエル)
 ニット   :肩ボタンボーダーニット(MHL)
 シャツ   :丸襟コットンシャツ(無印良品)
 アウター ;ロングムートンコート(ドルチェ&ガッパーナ)

a0310697_1542818.jpga0310697_15422917.jpg
[PR]

by hana2724 | 2015-02-06 15:53 | 日々のこと